くたばれ金文体!

くたばれ金文体!
くたばれ、金文体! ~安易に金文体が使われているデザインをさらし者にするページ~

・はじめに

 日本語の書体の一つに、「金文体」と言う書体がある。独特の優雅な曲線で構成された、装飾的な書体だ。下にサンプルを示す。

金文体サンプル(注1)


 個人的な印象だが、この書体には上品な感じ、神秘的な感じを受ける。また、エロティックなイメージもある。この書体を見ると古代中国のロマンを感じる人も居るだろう。(注2)

 この金文体と言う書体が、最近(この文章を書いているのは2003年8月)異様によく使われるようになってきた気がする。出版される漫画、小説、雑誌などの表紙などで見かける率がなかなかに高いのだ。このサイトの構想を得てから本屋に来るたびに本の背表紙、表紙から金文体がどこかに使われていないかと探しているのだが、これが意外とよく見つかる。3回本屋に行けば1回は金文体を見つけているような気がする。

 なぜ、これほどまでに金文体が使われるようになったか?

 もちろん、『月姫』であろう。同人サークル『TYPE-MOON』の手によるアダルトノベルゲーム。同人ソフトでありながらその独特の伝奇的世界観、感動的なストーリーが大きな支持を受け、コミックアンソロジーは何冊も発売され、トレーディングフィギュアが発売され、ついにはTVアニメ化が決定した、驚異の作品である。
 その『月姫』の、タイトルロゴが金文体を利用していた。それは優雅で、神秘的なイメージを持ち、作品によくマッチしていて、クールだった。そしてそれを見て、多くのクリエーター・デザイナーがこう感じたのだろう。

『自分も金文体を使ったデザインをしたい!』と。

 …正直に告白すると、僕もそう思った。(僕はプロのデザイナーなどではないですけど。)

 しかし同時に、それはクリエーターのする事ではないと思った。猿真似ではないか。才能のあるクリエーターなら、そんな事はしない。もっと他に、人の心に留まるクールな書体を見つけて、それをデザインに利用するだろう。いや、金文体という書体が人気だ、じゃあ自分もなにか良い書体を探そう、という発想はまだ二流の物だ。一流のデザイナーなら、書体に頼ると言う枠組みを超越して、まったく別な切り口からクールなデザインをして見せるだろう。そう思う。

 だから、僕は、本屋で(月姫関係以外の)金文体を使ったデザインを見るたび、ああ、ここにも一人才能のないデザイナーが居たんだなあと感じている。(注3)

 そういう考えに基づいて、このサイトでは金文体を使ったデザインをさらし者にする意図で掲載していく。才能のないデザイナーと言うのは多いんだなと言う事を感じる事ができるだろう。
(あるいは…。金文体というのは魅力的な書体なんだな…。と言う事かもしれない。)

 念を押しておくが、ある漫画のタイトルロゴが金文体だからといって、その漫画自体を非難しているのではない事は理解していて欲しい。


・コメント・詳細欄はまだできていません。近いうちに作る予定です。

作品・雑誌名 分類 金文体の使われている箇所 コメント・詳細
朝霧の巫女 漫画 タイトルロゴ 和風の伝奇ものだから…
晴明。 漫画 タイトルロゴ この作品は読んでいないが…
ゲーム批評(2003年7月号) 雑誌 表紙 『エロゲー論』と言う巻頭特集…
ラグナ通信 漫画 タイトルロゴ 内容は異世界SFのようで、…
わかる国語だいすきな20冊 TV番組 タイトルロゴ この番組のタイトルロゴに…
杏仁汁粉 食品・デザート 商品名ロゴ これも金文体を使う必然性…



(注1)

 See-Sawの3rdアルバム、「Dream Field」に収録の「記憶」と言う曲の歌詞の一部である。

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(注2)

 なぜなら、「金文」」とは、古代(紀元前12世紀~紀元前7世紀)の中国で作られた青銅器に刻まれた文字の事を指すからだ。(この場合の「金」は銀や銅の事で、「文」は文字の事だと言う。)
 「金文体」と言う以上、それは「金文」の文字をモチーフに作られた書体、ということになるのだろうが、それでは日本語書体の金文体のような文字が古代中国の青銅器には刻まれていたのか、と言うとどうもそうでもない様だ。実際の金文がどのようなものかは、次のページで少し見ることが出来る。

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http://yupeihsu.tripod.co.jp/syouten/kinbun.html


(注3)

 誤解のないように言っておく。ある漫画のタイトルロゴが金文体でできていたとして、僕はその漫画の作者にデザインの才能がない、と言うのではない。なぜなら、漫画のタイトルロゴのデザインは多くの場合、漫画化が行っているのではないからだ。僕も詳しい事は知らないのだが、とにかく漫画のタイトルロゴなどは漫画家とは別のデザイナーが行うのが普通であるそうだ。

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